2023/6/14 ~ 2023/6/16に幕張メッセにて開催されたVisionAIExpoに参加しました。
VisionAIExpoはinterop23と同時開催された技術展示会で、こちらは画像認識AIにフォーカスをあてたイベントとなっています。
私はふだん仕事でAIに触れており、今後のキャリアもその道を進むことを決めています。
そのためVisionAIExpoに参加し、見て周り、なにかインスピレーションを得て自分の身になればなと思って会場に足を運びました。
今回このVisionAIExpoはInterop23の"オマケ"的ポジションで、出展企業数/会場規模ともにささやかなものでした...(残念
~ 以下、長いお気持ち表明なので読み飛ばしてもらって構いません ~
VisionAIExpo全体というよりAPPS JAPAN※1も交えての感想になるのですが、やはり"ChatGPTを使ったサービスの提供"というのが多かったです。
実は、今年の春に開催されたJapan IT Week春で出展側として参加したこともあったのですが、そのときにちょっと見て周ったときも"ChatGPT x ○○"というサービスが目立ちました。
ChatGPTが登場してからというもの、AI系サービスとしてChatGPTをコアとしたなにか、例えば文書作成サービスや人事業務サービス、特定のユースケースに沿ったチャットサービスなどがあがってきました。
ただ、個人的にこの流れに対してうーん...という気持ちでいます。
別に上のようなサービスが悪いとか嫌いとか言いたいわけではないのですが、なんというか、外国産の既存サービスに全面的に乗っかるというのはうーん..という感じがしています。
たしかに、既存サービスであるChatGPTに付加価値として独自ソリューションを加えるというのは悪いことではなく、従来ではコストが高くて実現が難しかったソリューションだったのが、ChatGPTの登場により比較的容易に実現できるようになったのかなと思います。(開発が比較的容易だから、日々"ChatGPT x ○○"が生まれていると私は思っています)
「課題に対する考えはあるけど、コストや技術的障壁が高くて実現できなかった...どうしよ~」みたいな話もChatGPT...というより学習済みGPT-3/GPT-4で解決に持っていけるなら、それ以上に魅力的なことはないと思います。
でもちょっとソレに乗っかりすぎてないかな?っていう気持ちがあり、"外部のAPIを叩いて、その返却値を使う"というのにちょっと複雑な気持ちです。
個人的には、日本のIT産業とくにAI開発の活発化を図ってほしいみたいな願いがあるので、0(あるいは1?)からAI開発をするのが理想的だなぁと思っています。
ただし、それは莫大なコストがかかるので難しいことは承知しています。あくまでも理想論ということで。
現実的にはゼロからのAI開発でなくとも、AWSやAzureのAIサービスを使ってサービス開発を行い、極力閉じた環境で提供するのが良いのかなと思っています。
であれば、学習データやユーザ入力データといった資産を自社の環境におけるでしょうし、そのデータを使ってさらにAIモデルをアップデートさせることもできると思います。
と、ここまで書いておいて、私は素人なので「いや、そうじゃないだろ」みたいなところがあるかと思いますが、あくまでも個人的な考え/お気持ちです。
私が言ったことが正解といいたいわけではないので...ご容赦願いたいです。(炎上回避
と長々しく本題と反れたことを書いちゃいました..
めちゃくちゃ不満そうな感じに捉えられるかもしれませんが、VisionAIExpoで個人的におもしろいな~って思ったものはもちろんあります!
その感想を書いていきます。(ここからが本題)
※1. APPS JAPANも同時開催されたイベント。
個人的に面白いなと思ったブース1つめはマクニカ様のブースです。
こちらでは主にデジタルツインを題材としたサービスの紹介をしていました。
デジタルツインとは簡単に言うと、現実世界のレプリカを仮想空間上に構築する技術をいいます。
現実世界上の物体や環境をセンサーやカメラなどを使って仮想空間上に忠実に再現します。
デジタルツインは現実世界でのシミュレーションが難しいケースで効果を発揮します。
例えば、自動運転AIのシミュレーションで道路上に人が飛び出たときの挙動や悪天候時の挙動を確認するのに、
実地で人を飛び出させたりするのは危険です(まあ実際はマネキンとかで代替可能ですが)。また天候を思いのままに調整することもできません。
そういう状況のときに、デジタルツインが一役買ってくれます。仮想空間上であれば好きに人を飛び出させ放題、雨降らせ放題、風吹かせ放題です。
また、工場などにおいて、産業用ロボットの導入シミュレーションを実施するのに生産ラインを止めなければいけないというのは、生産効率低下を招くためなるべく避けたいところですが、デジタルツインにより稼働中の生産ラインを止めることなくシミュレーションできます。
さらに、現実世界ではまだ完成していない工場(プラットフォーム)における、産業用ロボットのシミュレーションもシミュレーションできます。
(事例: メルセデス、NVIDIAと共同で「デジタルファースト工場」を構築、デジタルツインで世界中の工場を同期)
こちらの会社ではそんなデジタルツインを活用した"デジタルツイン工程最適化サービス"も提供しているようです。
さて私はというと、こちらのブースをみてデジタルツインを活用したシミュレーションそのものに興味を持ちました。
下の画像にもありますが"NVIDIA Omniverse"というプラットフォームが肝になっているようです。
あまりにも面白そうだったのでVisionAIExpoから帰ってきてすぐに、このNVIDIA Omniverseを触ってみました。
触ってみたのですがかなり難しかったです。いやそれはそうだよなぁっていう話ではあるのですが...
詳しくはまた後日、ブログ記事にでもまとめようと思います。
NVIDIA Omniverse Isaac Sim↓
(画像では伝わらないですが)写真じゃないかと見間違えるぐらいのクオリティ↓
個人的に面白いなと思ったブース2つめは都築テクノサービス様のブースです。
こちらではAIやカメラ、LiDARを題材としたサービス・製品の紹介をしていました。
個人的に刺さったのがLiDARを活用した製品でした。
こちらのブースでは頭上に7台(or8台)ほどのLiDARが設置されていて、ブース内を歩く人の動線のトレース、人数カウントを行っていました。
LiDARによりトレースした動線情報から、動線や人がどの場所にどの程度滞在したかを示すヒートマップや混雑状況がディスプレイに表示されていました。
(サービス詳細: 人物 / 動線 / 混雑状況検知ソリューション)
また、"シェルフ コンシェルジュ"という商品棚がありました。こちらもLiDARを使って、顧客が商品棚に陳列されたどの商品を手に取ろうとしたかをみて、目の前のディスプレイに手に取ろうとした商品に関するコンテンツを表示するというものでした。
さて、もしかしたら「上にあるサービス・製品ってLiDARじゃなくてカメラでよくない?」って思った方いませんか?
ちなみに上記のサービス・製品で使用されているLiDARは1台8万円ほどみたいです。うーん高い笑
「一般的な1~3万ぐらいで買えるRGBカメラで良いのではないか?」そう考えるの無理はないです。
この製品の話を上司にしたら、上のように言われて「まあ確かにな」と共感してしまいました笑
ただ、改めて考えてみるとカメラではなくLiDARを選ぶメリットもあります。というよりメリットがなければLiDARを使った上のような製品は生まれません。
個人的に思ったのはプライバシー保護の観点でLiDARのほうが優れています。
近年、AI技術の発展によりなにかとプライバシーの保護について騒がれています。AI技術の本質は大量のデータにあるからです。
特にカメラ画像には顔や年齢情報、性別、容姿といった個人の特定が可能な情報が詰まっています。そのためカメラを使用したAIソリューションでは、顔や容姿といった情報にマスキング処理を施すのが一般的です。
そのような背景があるカメラ+AI推論の一方で、LiDARにより得た点群データはこの影響を受けません。
また、AI推論にかかる計算コストより点群データに対する計算コストのほうが一般的に低いと考えられます。
つまり、マスキング処理が不要でAI推論よりも低い計算コストで処理できるため、処理時間を短く抑えることが容易なわけです。
まあしかし、これについては計算・処理させるエッジ端末の性能に大きく左右される話であり、そもそもリアルタイム性を要求するのか、軽量なAIモデルや処理に留めるのかなどソリューションによるところではあります。
以上のことを踏まえると、ユースケースによってAIを選ぶのかセンシングを選ぶのか適切に決定するのが良いと思いました。
カメラ+AIでいいよねで終わるのは勿体ない気がします。(←最終的にこれが言いたかった
あまり製品と関係ない話を長々としてしまいましたが、その1台8万円するLiDARの画像載せときます。
左のピンク窓が赤外線レーザ光投射部、右の黒い窓が受光部です。
(気持ちちょっとほしい..)
8万円のLiDAR↓
製品やサービスへの感想というより、ただのお気持ち表明になってしまった本記事。
興味・関心が強い領域になると長々と語ってしまうのが僕の悪い癖(CV. 水谷豊)
VisionAIExpo、今回は規模が小さいものでしたが、またAI系の技術展示会があったら参加したいです。
やっぱり実際の製品やサービスは目にするだけでも良い刺激になるなと感じました。
※各ブースにおける撮影について、撮影可の確認をしてから撮影いたしましたが、写真の掲載などに問題がございましたらcontact@himazin331.com宛にご連絡ください。